ご近所付き合い

犬を飼った理由のひとつに、コミュニケーションがある。

 

猫は家から出ないので、猫を介した知り合いてのは、

せいぜい動物病院の先生くらいだけど、

犬は毎日散歩するので、だんだんに顔見知りができる。

 

地元を離れて大人になってから移り住んだ土地に住む人は誰しもそうだと思うのだけれど、

近所に知り合いというものがいない。

子どもがいれば、学校を介して知り合うのかもしれないけど、

普通に会社員してると本当に知り合いはできない。

 

特に問題は感じてなかったけど、

コロナ禍で家に籠るようになると一抹の寂しさもあって、

犬を飼いたい理由のひとつだった生活の変化の中に、

外部とのコミュニケーションも期待していたのでした。

 

なんの責任もない、利害関係のない、関係。

それってあるようでないよね〜と思う。

友だちほど近くはなく、でも友だちより物理的に距離は近く、

仕事が絡まないから、利害関係も上下関係もなし。

なんて素敵な関係なのかしら。

 

で、幾人かの知り合いができました。

女性が8割くらいかな、家族で犬を飼っている場合、

男性は家事と同じで、犬の世話も女性に任せてるんだろうなという気がする。

ご夫婦でいても、ウンチとか拾うのは奥さんだもんね。

 

顔見知りで挨拶するけど、通り過ぎるだけの人もいるし、

犬同士のコミュニケーションを見守りはしてもあまり話さない人もいるし、

犬そっちのけでおしゃべりしちゃう知り合いなんかも何人かできました。

 

ドッグランとかカフェとか、犬連れお出かけに誘われるに至って、

距離感てどのくらい詰めるものなのかしらとか、

考えたりもする。

 

最初は家を知られるのも抵抗がありました。

 

そもそもご近所付き合いってのをしたことがない。

産まれてから中学3年まで住んでいた家は社宅だったから、

ご近所はみんな父親と同じ家庭の家族。

 

今思うと社宅ってめちゃくちゃ苦しい環境だよな〜…

我が身の場合、休みの日に家の周りに会社の人がいるわけでしょ。

そんで、妻だった場合、ご近所さんが夫の上司とか部下なわけでしょ。

気が休まる暇がないよね、絶対無理だな。

 

高校一年で別の場所に引っ越したけどマンションだったし、

高校生になると学校は電車で通う距離なので、

近所に同級生はいない。

部活もしてなかったし、土日に何してたのか全然覚えてないけど、

家の近所に知り合いを作ることはなかった。

 

その後社会人になって、東京でひとり暮らしを始めても、

会社に行くか、会社の人と遊ぶか、寝てるかな生活で、

知り合いとかできなかったなぁ…

 

一時期、スポーツジムに通ったときにも顔見知りはできたんだけど、

同世代はあいさつはしても話すことはなく、ぱっときてぱっと帰るし、

毎日来ているらしきおばちゃんたちは、ダラダラずーっとしゃべっていて、

あまり混ざりたい感じじゃなかったのでした。

 

その辺りの抵抗が少なくなったのは、

わたしとおばちゃん世代の年の差が近づいたからかしら。

でも仲良くなり過ぎることもあまり良くない気がするね、ご近所って。

何しろ家が近いから、万が一ややこしくなった場合、逃げ場がないもんな。