新しい生活
犬が来て、新しい生活が始まった。
フレンチブルドッグは暑さに弱いので、28度を超えてしまうと散歩はできない。
時は真夏。朝4時の夜明け前後の一瞬だけが28度くらい。
それ以外の時間は30度を上回る。
ワクチン3度と狂犬病の注射を打つまでは散歩できないとか、
生後3〜4ヶ月でいろんなものに慣れさせないと、
うまく社会化できずに、怖がりな子になってしまうとか、
猫と違ってしつけが必要だとか、トイレとか、
本とか口コミとかネット情報とかYouTubeとか、
とにかく知識を振り回して、わたしは果敢に挑戦した。
それでもやっぱり聞いてた話と違うことは他にもあって、
例えばトイレ。
トイレの間隔は月齢+1時間だという。3ヶ月なら4時間。
トイレした時間をメモしておけば、次にする時間が分かるとか。
最近でこそ(現7ヶ月)だんだん定間隔になってきたけど、それでも2時間おきにするし、
来た当初は30分間隔でしたり、6時間しなかったり、
全然等間隔なんかではなく、ずっと見張るわけにもいかず、
トイレの躾はものすごく難しかった。
うんちをする時はクルクル回るというけど、これもまた全然そんなことはなく、
うんちハイになってその辺を走り回ったり、甘噛みしまくったりすることが分かったのも、
ずいぶん経ってから。
散歩も最初は歩いてくれない。
ほめて、お菓子を見せて、歩くように話しかける。
歩き出すと、今度はなんでも口に入れる。
道路には吸殻とか、ごみとか、葉っぱとか、いろんなものが落ちていて、
食べないように見張りながら歩く。
朝4時に起きて、散歩に行く。
外でトイレできたらほめる。他のわんちゃんと触れ合えたら褒める。とにかく何でもかんでも褒める。
帰ってごはん。猫もごはん。
犬トイレ2つの掃除、夜に使ったケージの掃除、
犬用猫用に家中に置かれた水の交換。
観葉植物に水やり。
汚れ物を洗濯機に放り込み、前日の洗濯物をしまう。
この時点で汗だく。起きてから2時間が経過。
お風呂に飛び込む。
洗濯物を干して、家を軽く掃除して、仕事を始める。
仕事しながらも横目で犬を見る。
子犬はケージから出たがり、出れば目にしたもの全てに噛み付く。ふとした隙に粗相。
怒ったり褒めたりしながら掃除。
小さな子に昼も夜もないので、夜中も何度もトイレをする。
トレーにしてくれればいいけど、結構外す。排泄物で遊ぶ。
ケージをベッド脇に置いて2時間おきに起きて世話をした。
小さな子はお腹を壊す。吹き出物ができる。
病院に駆け込む。
猫を亡くして、動物病院を見る目も非常に厳しくなった。
きちんと動物を見ているか、きちんと人間に説明できるか、
保険は使えるのか、衛生的か、アドバイスは的確か。
近所の病院を巡って、病院探しも怠らない。
犬の社会化のために、知り合いを総動員して、遊びに来てもらった。
誰もが小さな子犬をかわいいと目を細めて、
子犬はみんなに懐いていた。
そう、たしかにかわいいの。
かわいらしくて、愛らしい。
よちよちと家の中を駆け回って何にでも興味を示す。
でもわたしにとってはかわいいかどうかよりも、
ちゃんと躾できているのか、周囲に迷惑をかける子になっていないのか、
社会性はきちんと育っているのか、そんなことばかりが気になっていたような気がする。
それに、一緒に暮らす猫のはるたが嫌な思いをしていないか、
それもすごく気になった。
はるたは夏のせいもあって、食欲が落ちていたし、
はるたを見ると吠える子犬のクセも変わらないままだった。