勤める

退職して2ヶ月、同じ頃に辞めた同僚と会いました。

 

彼が力説してたのは、

周りに何を言われようと、どう思われようと、

誰にも迷惑かけてないんだから、生活を楽しむべきだと。

自分は本当に辞めてよかったと。

まともな神経ではあそこにはいられないと。

 

うん。確かに。

 

嫌がらせや陰口が横行していた。

気に入らない奴の仕事は平気でボイコットして、

誰も彼もが足の引っ張り合いをしていた。

 

わたし自身も嫌な思いをたくさんしたけれど、

誰もが何かしら理不尽な思いをしていた気がすると、辞めてから思った。

みんな不満を抱えていて、でも解消するために何かをするわけではなく、解消しようとする人が現れれば、それはそれで足を引っ張った。

 

この間、自宅の近所でランチしていたときのこと。

近くの会社に勤めるらしき、女性5人が入って来た。年齢は、30代から50代くらいまで。

誰かが、○○さんの件はどうなったの?と言い、

50代風の女性が早口で語り出した。

 

当初は10月末で辞めることになっていたけれど、部長が引き止めて保留になっている。後任が決まり次第本人はやめたいと言っている。

次にやりたいことがあるわけではないし、お金に困っているわけでもないから、冬のボーナスなんていらない、早く辞めたいらしい。

部長は体制変更すると言って引き止めている。

 

言外に、辞めたい奴はとっとと辞めさせればいい、というのがありありで、かなりストレスの溜まった話し方だった。

それを聞いた女性陣はガヤガヤと反応する。

 

まぁ、わたしも似たような事情だし、どこの会社にもこういうことったあるんだなぁと思いつつ、

まだ在籍している人の個人情報を、ヒソヒソ話でもなく、声高にしゃべってしまうこの女性には、自分がハラスメント行為をしている自覚はないんだろうなと思った。

 

話題の人は、これが知れ渡ればますます居心地の悪さを感じるであろうし、どんどん感情的になっていくだろう。

周りはそれを知りつつ、話はどんどん広まっていき、つまりはいじめみたいなもんだ。

 

つまりは、仕事を楽しんでいない集団だからこういうことが起きるんだと思う。

たぶん、心も頭も使わない仕事。

精神的にヒマだから、周囲へと目がいって、粗探しが始まる。

不器用な人から槍玉に上がって、どんどん居づらくなっていく。

わたしなんて、慣習を敢えて破るクセがあるもんだから、格好のターゲットだ。

 

それでも、毎日我慢して通っていればいくばくかのお金は貰えるし、社会的身分も手に入る。

貰える年金の額も増える。はず。たぶん。予定。

 

日本に会社がいくつあるのか知らないけど、

8割はこんな状態なのだろうと思う。

勤め人は目が死んでる人が多い。

息を殺して、従わないと、弾かれる世界なのだ。

 

女子チームは、ハラスメント女性がチキンカレーを注文し、その後全員が、同じものを頼んでいた。

 

同じものでいいです。

 

仕事が絡む食事会では、わたしもよくそう言ったなぁ。ランチでもお酒でも。

そうして少しずつ、自分の価値観が消えていったような気がする。

何がいいことで、自分はどう思うのか。ではなく、どうすれば弾かれずに済むか、嫌われずにいられるのか。

 

器用になればなるほど、自分が見えなくなるんだよね。