ニンゲン御破算

久しぶりにシアターコクーンへ。

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作・演出 松尾スズキ

主演 阿部サダヲ多部未華子岡田将生

 

昔、観劇にハマっていた時期があって、

週に1本は見ていた。

コクーンは月に一度は来ていた。

芝居というものは高いものなので(笑)

お給料をチケ代につぎ込んでいたんですねぇ。

 

それもここ数年は、1年に2本くらい。

チケットの異様に取りづらい大人計画は久しぶりでした。

 

ニンゲン御破算は、舞台にハマるきっかけとなった舞台。

WOWOW放送を録画したVHSを、見るべし!と渡され、

当時家にあった14インチのブラウン管テレビで、

何度も何度も、テープが擦り切れるまで見た。

 

松尾スズキ阿部サダヲ宮藤官九郎も、そのときに初めて知った。

阿部サダヲ演じる灰次があまりにカッコよくて(笑)

仕事人間で、仕事しかしてなかったわたしは、舞台に夢中になって、

結局、時間の取りづらい前職はそれもあって辞めてしまった。

 

ふふ(笑)懐かしい。

あのときは、プライベートを楽しむために辞めたのか。

今も楽しみたいのはプライベートだから、

思考回路は変わってないんだな。

 

あれから15年あまり、

もう録画を見ることもなくなっていたけれど、

再演を見ていて、ほとんどのセリフを覚えていることに驚く。

 

目の前で繰り広げられる再演を見ながら、

脳内には初演が流れていて、二重奏でした。

どちらもすごくおもしろかった。

 

特に、改めて役者 阿部サダヲに背筋が寒くなる。

すごいよ、このひと。ほんとうにすごい。

すごいなんて言葉が陳腐に思えるほど、

なんなんだ、あれは。あれが天才てやつか。

 

ほぼ出ずっぱり、叫びっぱなしの、転がりっぱなし。

喉の強いひとなのに、珍しく少し枯れていて、

見ればそれも納得。

からっぽだー!と叫ぶ圧巻のシーンでは目が釘付けに。

すごい。すごい。すごい。

 

とは別に。

 

奴隷のボブとトムが黒船から逃げ出し、ボートで大海原へと漕ぎ出す。

一方、ガセのすけ(阿部サダヲ)と灰司岡田将生)は家と藩から逃げ出して、逃走過程で海へと飛び込み、ボブとトムに拾われる。

freedom!

ボブが叫ぶ。

これがふりーってやつか、意外と奥が深いね、アイムフリー!

ガセのすけが叫ぶ。

 

ああそうか、あれはわたしなのか。

企業と言う名の黒船を降りて、1人漕ぎ出そうとしてる。

嵐がくればボートは転がる。風が吹けばずぶ濡れになる。

安心も安全もないけれど、命令されることもない。

やりたくないことを嫌々やる必要はもうない。

 

昨日は結構な雨で、気圧病なのかなんなのか、

疲労感でぐだぐだになりながら、溢れるパワーを感じていた。

そう。だから舞台はおもしろい。