ベランダ
生まれてこのかた集合住宅住まいです。
戸建て経験なし。
そしてまた、どの家にも必ずベランダというものが付いていたけれど、その存在を気にしたことがありませんでした。
何しろ、わたしの部屋にはベランダがなかったし、
家事を手伝うような良き娘でもなかったから、
洗濯物を干すとか、布団を干すとか、ほとんどしなかった。
一人暮らしを始めて、最初の家はベランダなし。
2つ目の家は、窓際にベッドを設置したもんで、
ベランダに出るには、ベッドを乗り越えねばならず、
そんな面倒なことはしなかった。
そして今。なぜかベランダ存在感高まる…!
朝起きるとベランダに出ます。
朝日を眺めて、まだ比較的静かな街を眺め、しばしぼんやりしながら、朝の空気を吸い込みます。
洗濯物をベランダに干すようになり、
観葉植物は、様子を見てベランダと屋内と動かしてみたり。
ベランダ掃除をしてみたり。
もう少し広かったらなぁ。
ベランダ菜園もできる。すのこ敷いてみたり、椅子を置いてみたり。
日光浴をする気はさらさらないけれど、
直射日光の当たらない時間に風に吹かれるのは悪くない気がする。
それはつまり何かと言えば、
都心で少しでも自然を感じようとしているのだろうな。たぶん。
自然。
仕事を辞める前、あれほど移住したくて、
取り憑かれたように、泣きつくように、
移住のことばかり考えていたのに、
今はなんだかすっかり熱が消えてしまった。
わたしは移住したかったわけではなく、会社を辞めたかっただけだったのか…。
なんだか残念な気がするけれど、どうやらそれがこたえのような気がする。
と言っても、緑が恋しいことには変わりはないのだけれど、
歩いて数分の神社へ行って、お参りしたついでにご神木を触ってみる。
なんだかそれだけで充分に癒されたりする。
そしてまた木陰でぼんやりしてみたりすれば、また癒される。
野菜を作りたい思いも消えていないけれど、
田舎じゃなくてもできるのかなぁと思ってみたり。
広いベランダがあればね(笑)ウチは狭いけど。
このまま東京で生きていく。のかしら。
人はどうやって住む場所を決めてるんだっけ。
わたしは今住むこの街が好きです。
ただひたすら車の音がうるさい。
それだけがどうにも気になる。