TITANIC

タイタニックが好きです。ベタですが(笑)

 

ここのところ、童謡みたいなのが頭の中を流れてて、

モモだのリンドグレーンだの、児童文学読んだせいか頭が子どもに戻ったんだろうか。

数年ぶりに見てしまった。

 

大学を卒業して、一年ほど働いた後、

イギリスで語学留学をしていました。

 

親の反対を押し切って自費留学。

周りの子たちは、みんな親の金できていて、

スイス人やアラビック系はみんな十代で、

ひとり年長者で。肩身が狭かった。

今思えば、大して変わらない歳なんだけど(笑)

 

何しろ1人で海外に行くなんて初めてのこと。

というか、海外旅行にもなれていなかった。

ぜーんぜん英語が分からなくて。授業が分からなくて。

16歳のスイス人やアルゼンチンのぼうやはすぐにペラペラになって、悔し涙にくれる毎日。

 

そんな頃、タイタニックを見た。

 

留学していたのはイーストボーンという小さな街。

小さな映画館と、海と、パブが数軒、クラブが一軒。それだけ。

 

お金もなかったし、学割で300円ほどで見れる映画以外、することもなかったんだよなぁ。

ホームステイ先でホストファミリーとテレビを見るのも限界があり、

自分の部屋で勉強するのも退屈で限界がある。

 

近所の店は、確か19時ぐらいで閉めてたんじゃなかろうか、飲食店でさえ23時まで。

パブで飲むお金もなく、みんなホームステイだから誰かの家につるむこともできない。

 

当時、タイタニックなんて馬鹿にしてました。

ハリウッドが金に任せて作った映画でしょ〜

どうせステレオタイプ。くだんない。みたいな。

 

でも英語勉強中の身の上にはちょうど良い分かりやすさ。当然のことながら字幕なんてありませんけど、それでもかろうじてストーリーは理解できた。

セリフも短いし、英語がブロークンじゃないから聞き取りやすかった。

 

そしてまた、豪華客船とはいえ、船の中だけで繰り広げられるドラマ。

イーストボーンという小さな街に閉じ込められて、見るものは海しかなかった、あの頃の風景と、

映画のなかで描かれる閉塞された世界観の空気は、とてもよく似ているような気がした。

 

そうそう、人種差別もあったしね(笑)

イエローと笑われた。パブによっては入店拒否とか。

だから映画の身分差みたいなのもなんとなーく。リアルであったりして。

 

イギリスってのは天気の悪い国でさ。

すぐに雨が降る。いっつも曇り空。

カモメばっかりデカくてたくさんいてうるさくて、いつも強い風が吹いていて、泳ぐこともできない冷たい海。

 

タイタニックしか娯楽がなかったとも言えるし、

映画の中の黒い海と、イーストボーンの海岸から見る夜の海が似ていたように見えたからかもしれないし、

タイタニックの英語から単語を覚えたり、言い回しのコツが分かってきたりして、

いつしか少しずつ外国人の友達が増えて、楽しい日々になって、クラブで遊んだり、イギリス国内のあっちこっちへ旅行したり、

海岸で飲み明かしたり、仲間の一人がアパート借りて、そこが溜まり場になったり、

パリに行ったり、ロンドンに行ったり、スイスに行ったり、恋したりして、

だんだんと毎日が華やかになっていったのでした。

 

なんだかそういう懐かしい思い出を背負った映画。

主役の2人が同世代ということもある。

わたしの中のイギリス時代の象徴のような映画。

 

その後、バックパックひとり旅に出て、語学留学どころではない大変な思いを色々して、たくましくなり、

映画もイーストボーンだけでなくロンドンでもたくさん見て、そして日本に帰って行き、

社会の荒波にもまれ、ヒマを見つけてはあっちこっちの国へひとり旅立つようになり、今のわたしにつながって行くんだけど、

可愛らしかった最後の時代の象徴なのかも。