会社を辞めたい理由

20代の頃、キャリアウーマンに憧れていました。

友だちが徐々に結婚していく中、わたしにも長年付き合っている彼氏がいたけれど、

どうにもその人との結婚というのはピンこなかった。

 

その人が悪いというわけではなく、

学生が終わって社会に出て、まだまだ人生これからという時に、

結婚して子どもを産んでという流れが、なんだか人生の終焉へつながる道のように思えて、つまらないと感じてしまった。

それよりも飛び出したばかりの社会で、色んな経験を積んでみたいと思ったのです。

いわゆるデキる女に憧れていた(笑)

 

徹夜や休日出勤をくり返す今で言うところのブラック企業で仕事に没頭するうちに、

彼との時間はどんどん減っていき、さして悩むことなくお別れして、仕事に邁進する日々でした。

 

20代が後半に差し掛かってくると、月100時間を超える残業がだんだん堪えるようになってきて、転職を考え始めました。

そして入社することになったのが、今の会社です。

 

入社した当初はやはり徹夜やら残業やらが多く、

ちょっと独特な業界ということもあって、慣れるまでは大変でした。

でもいわゆる体育会系に見えるその世界は、面倒見のいい世界でもあることを知って、徐々に馴染んでいくことができた。

 

とんとん拍子に仕事には結果が出て、おかげで役職も上がっていき、

全体をコントロールできるようになったおかげで、今の生活で残業することはほぼありません。

毎日定時で帰るようにしていると 、周りがそれに慣れてくるということもあり、業務量も調節できるし、客観的に見たら悪くない環境なのではないかと思います。

 

でも…

 

コントロールできるようになればなるほど退屈も感じるようになった。

そして東日本大地震を経て、この仕事は社会的になんの意味があるんだろう?とうすらぼんやり考えるようになりました。

 

この仕事が世の中から消滅しても誰も困らない。

そこに毎日8時間を捧げる人生。

 

理想だけでは生きていけないことなんて分かっているけれど、

退屈なものは退屈。

そして、この程度の仕事しかしてないのに、自分を大きく見せようとする周囲に徐々に嫌悪感を感じるようになり、

わたしはますます仕事が退屈になっていきました。

 

でも、環境として考えたら、もはやこんなに楽な職場はないんだよね。

すでに最古参になったわたしの意見は一目置かれ、尊重されます。

雑用を代わってくれる部下もいます。

ただひとつ、不愉快に感じることがあるとすれば、自社。

 

入社してからずっとクライアント先に常駐しているわたしは、自社に行くことがほとんどなく、

関係性はどんどん希薄になっていきました。

 

さほど大きな会社ではないけれど、そこにも権力の奪い合いは存在していて、

自社にほとんどいないし何をやっているのこかもよく分からないのに偉そうにしているわたしを目障りに思う人はおそらく少なくはないのでしょう。

つまらない嫌がらせを受けるようになりました。

 

とはいえ自社との接触なんて限られているから気にしなければいい。

そう思っていたけれど、直属の上司からあからさまに否定的な言葉を投げかけられるようになって、

さすがにストレスを実感するようになりました。

折しも世の中では働き方改革が叫ばれ始め、我が身に置き換えて考える機会も増えました。

 

パワハラもセクハラも当然のように黙認されるのが日本企業。

働きながら一度も感じたことのない人はいないんでしょうね。

問題のあるレストランというドラマでのセリフで、

どうしてしずかちゃんは、いつも駄目な男と偉そうな金持ちの男と暴力振るう男とばかり仲良くしてるか分かりますか?どうしていつもお風呂場覗かれてもいつもすぐに機嫌治すか分かりますか?

ってセリフがあって。

 

ドラえもんだの寅さんだの、古くから日本で愛されるお話は必ず男性目線で描かれている。

そこで女性が何を感じるのか、そんなことは着眼されないし、意義を申し立てたところで、だから女は…とせせら笑われて終わってしまう。

どころかその評価が女同士のマウントに直結しているような気がする。いかに男に愛されながら美しく賢く生きるのが女の勝ち組なのだと。

 

その全てが、めんどくさく、くだらなく、バカバカしく、

でも叩かれるのは疲れるから、

いつしか息を殺して表情を殺して職場で過ごすようになりました。