将来のこと

イギリス留学中、一人だけアパートを借りてる子がいて、

その子の家に溜まってダラダラとおしゃべりをしていた。

その時に、生まれ変わるなら男がいいか、女がいいか?という話が出て、

ある日本人の男の子は、絶対に男だと言い切った。

 

わたしは女がいいと思ってたからびっくりした。

どうして?と聞くと、

だって、女って大変じゃん。不便だし。

今思えば、彼は格差のことを言っていたのだと思う。

 

日本のジェンダー指数は、世界でも指折りに低いけど、

問題は、日本人がそのことを自覚してないことらしい。

当時の私も、男女差別なんて親世代の話で、自分には全く関係ないと思っていた。

 

次々に友だちが結婚をし始めて、

お祝いするやら、寂しいやら、つまんないやら、そんな話をしていたら、

一人の子に言われた。

そろそろ彼にお任せしたら?

 

それは「働くことを」意味していたと、だいぶ経ってから気がついた。

当時は同棲していて、家事の比率はわたしが6割くらい、

お金は出してもらうことが多かったりしていたけれど、

養ってもらうと言う発想はまるでなく、

仕事に邁進するうちに、ケンカが絶えなくなって、

わたしは一人暮らしを始めた。

 

見事なブラック会社で、始発から終電まで仕事して、週末は会社に泊まり込むような生活。

たまに空き時間があると、会社の仲間と飲みに行ったとき、

同僚の男の子が言った。

僕らは一生働き続けなきゃならないけど、あなたたちは期間限定でしょ。

 

その時も全然ぴんとこなくて、どういうこと?と返すと、

だって女の人は家庭に入るでしょ、と。

 

その時はもう30に近かった気がするけれど、

家庭に入るという発想はまるでなかった。

結婚に興味もなかったし、子育てなんて違う世界の言葉だと思ってた。

 

社会に出てからは仕事がおもしろくて、

仕事に飽き始めた頃には小金が持てていたから、趣味生活に没頭して、

いつの時も現在を愉しんで、将来のことなんて考えたことなかったなぁ。

 

とすると、今が初めてなのかもしれない。

 

でもまた、先のことばかりを考えて、今を楽しむことのできない生き物は人間だけど、

ディスイメージで語られることもある。

確かに動物たちは今を力いっぱい生きている。

過ぎたことは、愛する人との別れでさえ、藪の中だ。

 

自分を突き動かす衝動があるうちは、本能に従ってもいいのかもしれないね。

何をしたらいいのか分からなくなってきたら、

未来日記を描くときなのかも。