養生園2日目 森の中へ

木で出来たお宿は人の足音がよく響く。

前日早く寝たせいもあって、5時前には起きてしまった。

恒例の夜明けを見るべく、宿の裏道へ。

 

とは言え都会人の哀しさ、野道は色んなものが怖くて、

すぐにアスファルトの道に戻ってしまった。

宿近くのカフェのテラスで、ぼんやりと朝焼けを見る。

 

アップルジンジャールイボスティーをいただいて、

そして原生林の中へ。

 

アスファルト、砂利道含めてそこそこの上り坂、

1人だったら絶対に心折れて戻っただろうなぁ。

参加者はみなさん年配なのに、すいすいと上がっていく。

わたしは後ろから大汗かきながらゼーハーとついて行く…

 

到着したのは山道の入り口。

山登り経験はないのだけれど、山道って道じゃないというか、

石ころ道というか、落ち葉道というか、そういうものなのね!

運動不足の重たい身体だと、転びそうで躓きそうで、

落っこちそうで、ハマりそうで、とにかく怖い。

ところどころは手の助けも借りないと歩けない。

 

それでも清流とともに見上げる山は美しい。

ふと気付くと、360度誰もいなくて、道もあるんだかないんだか分からなくて、

何やら錯覚を起こしそうになる。

 

戻っていただいたのはクリアスープ。

じゃがいも、玉ねぎ、さつまいも、キャベツを煮込んで濾した完全に透明なスープ。

とけだした野菜の甘みが優しい…

 

食後はダンスセラピーなるものを受け、

木陰のテラスで緑のシャワーを浴びながら昼寝。

川のせせらぎと虫の声、ちらちらと照らす木漏れ日。

 

お昼のは、小松菜、梨、いちじく、梅のスムージー

びっくりするほど甘くてやわらかくて、噛みしめるようにいただく。

そして、トレガーアプローチへ。

 

養生園にはセラピーなるマッサージメニューがいくつかあって、

とりあえず初めて聞いたトレガーを物は試しで受けてみたんだけど、

これがなんとも不思議なマッサージだった。

これってどんな効果があるんだろう…と考えているうちに眠ってしまう。

 

声をかけられて起き上がり、身体の変化に驚く。

自分の身体が小さくなったような、

本来の大きさに戻ったような、不思議な感覚。

足の裏がしっかりと地面を支えているのが分かる。

 

自分を否定する癖があるようだから気を付けて。

終わってから言われた言葉。

食べたくて食べてる?とも。

さらに、

もっと自然に触れて。動物でも植物でも。

 

うん。そうね、そう…だから移住したかったけど。

だから企業勤務を辞めたいんだけど。

でも、難しい。食べ物…わたし、食べたくないのに食べてた?

 

戻って夕食は玄米クリーム。

空腹感は意外なほどなくて、食べ物への渇望もない。

ほんのり感じる梅の塩気が、心地いい。

 

夜は広間に薪ストーブが付けられた。

みんな、なんとなくそこに集まり、

でも誰も言葉を交わさないまま、火に魅入られる。