新しい家族
泣き暮らす日々の中、犬のことを考えている時だけ、悲しみを忘れられた。
犬は子供のころから飼いたいと思っていた。
今の家に引っ越して、ペットを飼えると思った時に、
もちろん犬のことも考えたけど、
フルタイム勤務では毎日の散歩がてきると思えずに、
あまり迷わず猫を飼い始めた。
コロナ禍でリモート中心になって、
犬飼えるなぁと、健康のための散歩をしながら思ったけど、
二匹の猫を考えたら、なんとなく決断はできず。
もちろん今も一匹の猫がいる。
この子は亡くなった子と違って、孤独を愛する猫らしい猫。
もちろんわたしには懐いているし、かわいいのだけれど、
膝に乗ることも、布団に入ってくることも、わたしの後ろをついて回ることもなく、
わたしは寂しかった。
そう、驚くばかりに寂しかった。
ずっと一人の時間を大事に生きてきたのに、
こんなにひとりぼっちなのだと感じたことがなかった。
でも猫を迎える気にはなれなかった。
レンに似ていても似ていなくても嫌だ。
猫はもう今いる一匹で十分だ。
犬のことを調べ始めて、
犬種によって大きさはもちろん、性質も、かかる病気も違うことを知った。
遺された猫のことや、自分のだらしない生活、レンを亡くしてまだ間もないこと、
もちろんお金も含めていろいろ悩んだけれど、
夏が始まるころ、新しく我が家にやって来た。
フレンチブルドッグの女の子。
あんなに待ち焦がれていた子犬だったのに、
二人きりでタクシーに乗った瞬間、不安になった。
ちゃんとお世話できるだろうか?
悲しい思いをさせることなく、することなく、
最期までちゃんと面倒見れるんだろうか。
小さな子犬はかわいらしかったけれど、
猫と違い過ぎて、仕草が何を示しているのかも、
どう思っていて何を感じているのかも、全然分からずに、
さらにどきどきした。
家に到着して、用意していたケージに入れて、猫のはるたと対面。
はるたは受け入れるだろうか…
どきどきしながら見守っていると、
子犬がわわわん!!!と猫に吠えついた。
うそー!!!子犬は先住に懐くんじゃないの?
問題は先住が受け入れるかどうかだけなんじゃないの?
聞いてた話と違うんですけど!
不安はさらに高まった…